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Designer Interview CORNEL FURNITURE 代表 / 家具の設計、製作 磯部雄一 • 磯部聡子  ISOBE Yuichi • ISOBE Satoko 

職人肌の彼と、大学で学んだ彼女

雄一 僕はすぐに家具を始めた訳ではなくて、高校を卒業してロンドンに行ったんです。大学に進学する理由も分からなかったし、当時、音楽やファッションが好きで、伝統と最先端が混在するイギリス文化に憧れていた。イギリスには1年半ほどいて、その後、東京で暮らします。まずは働かなくちゃと、縁あって青山のクラブでバーテンをすることに。ちょうど店の向かいに「ウッドユウライクカンパニー」という無垢材を使った手づくり家具屋のショールームがあって毎日のように見ていましたね。家具を始めたきっかけは、就職情報誌にあった家具職人の募集。経験ゼロなのに雇ってくれた社長には本当に感謝です。当時は今で言うようなおしゃれな家具屋はなくて、大阪のTRUCKやgrafの名前が聞こえてきて、スタンダードトレードも出始めた時代。勤務先は目黒にあって、家具屋というより木工屋。いろんな仕事を通じて知識や技術がどんどん身についていくのが分かりました。木工に目覚めるとみんな宮大工や技術系に行くんですけど、僕ももれなく(笑)。次は和家具屋さんで4年ほど働きました。体調を崩して浜松に戻った後、今度は埼玉で作家系の家具をつくる人の元でアシスタントをしました。今、幅広く仕事ができるのも、いろんな場所でいろんなスタイルで働いてきたおかげだと思います。好き嫌いもないですし、技術的に何かに偏っているという訳でもないし。家具は使い続ける道具だから、見た目も使い勝手も大事。学問としてデザインを学んできた訳じゃないけど、いろんなことを体験したり、感性を磨くことは大切にしています。

聡子 私は静岡文化芸術大学(以下、文芸大)の1期生で建築系の学科にいました。建築を始めて自分にはスケールが大きな領域だと気付きました。模型はつくるけど扱うものが大きすぎて、うまく体感できず自分的にリアルでないなと。3年生になって選択授業で家具を選びました。自分の図面が実物になって強度も確認できるし、素材も分かる。建築と比べて全部自分で確認できる家具って面白いなと気付いたんです。それからはずっと家具。最初に、木のフレームと座面を籐で編んだイスをつくりました。そこからさらに木工が好きになっていきます。木工専門の授業がなかったので、本を読んだり、実習指導員の方に聞いたり、ほとんど自己流ですね。大学に行ったからこそ学べたことはたくさんあります。工房の設備は整っていたし、図面の書き方やCADなどは勉強になりました。あと、1期生だったので先輩のいない状況の中で試行錯誤したのもよい経験になっています。
卒業後は、名古屋にある「holly wood buddy furniture」という家具屋さんが好きで、そこで働きたかったのですが募集がなくて…。この家具屋さんと一緒にお仕事をされていた宇野友明さんの設計事務所に半年ほどオープンデスクとして通いました。ドアノブからポストまで、ほとんどが特注。設計から施工まで一貫して行う事務所だったので、とても勉強になりました。ほかにもインテリアコーディネーターのアシスタントや家具の試作のアルバイトなど、いろんな仕事をさせてもらいました。その後、文芸大の実習指導員として働くこととなり、家具製作も再開しました。

家具だけでなく、ライフスタイルを提案したい

東京や浜松でたくさんの経験を積まれてきた雄一さん。確かな技術を持ちつつも独立するときはとても勇気がいったそう。家具をつくっていくスタンス、そしてふたりになってこれからの働き方について語ってもらった。

雄一 中学のときから自分で何かしたいと思っていました。家具製作の仕事を始めた頃、水を得た魚のようにとてもワクワクし、集中した のを覚えています。そして、仕事として続けていく中で、これでやっていきたいと。32才までには独立したいとずっと思っていて、浜松に帰ってきていたこと、友人からの仕事も入ってきて、もうこのタイミングしかないかなと。最初のふんぎりがとても大変で、自分を追い詰めて独立した感はありますね。仕事の流れとしては、建築家と組んで一緒に進めていく場合もあれば、 職人として図面通りつくるだけの場合、個人のお客様からオーダーいた だいて打合せを重ねてつくっていく場合があります。住宅や店舗、素材も無垢や合板、鉄と組み合わせたり、さまざま。人数がいる木工屋さんで扱うことを僕ひとりでしている感じです。僕の場合はデザイナーではなくて、やっぱり技術者。お客さんのイメージを僕らなりのフィルターを通して形にするのが仕事だと考えています。家具があることで生活が豊かで楽しくなる、ワクワクする感覚が生まれるものをつくりたい。そんなことを打合せで伝えています。値段は既製品より高くなるけど、僕らのものづくりのスタンスはそこですと伝えていますし、何より大切に使いたくなる家具を目指しています。

聡子 今後はメインでつくるのは彼。10年以上職人としてやってきたという経験や技術、つくれるものの幅、スピードのレベルが私とは全然ちがうから。私は、デザインの面や小物などにも力を入れていきたいなと。 また、木以外に金属にも魅力を感じるので、オリジナルの家具金物などもつくっていけたらと思っています。

雄一 彼女の魅力は、僕にはないバランス感覚を持っているところ。ふたりでいると幅がでるのも嬉しいですね。あとはやっぱり、お店を持ちたい。ショールーム兼、作業場。今はシェアしている木工所で製作しています。今まではお客さまからのオーダーを受けてから製作するというのがメインでしたが、オーダー以外にも、テーブルやイス、デスクなど、定番商品をつくりたいと思っています。自分たちのスタイルをもっと確立していかないと。木工が盛んな岐阜などと比べて、浜松は建築家と家を建てる人が少ない。だからそれに応える家具屋やインテリアショップも少ない。若い世代で感度の高い人たちがいるから、浜松でも需要がない訳ではない。そんな人たちの相談にのれる立場でありたいし、「板1枚切りたいけれどどうしよう?」といった時にも気軽に相談できるような身近な街の家具屋さんでありたい。アパレルが雑貨を扱っているように、家具も単体で売る時代ではない。ライフスタイルも含めて提案したり、浜松が楽しく暮らせる街にしていきたいですね。

Profile

磯部雄一 • 磯部聡子ISOBE Yuichi • ISOBE Satoko

1979年浜松市生まれ。高校卒業後、イギリスへ留学。その後、東京・浜松で家具製作のキャリアを積み、2011年オーダーメイドの家具屋として独立。
1980年愛知県生まれ。静岡文化芸術大学卒業。大学で実習指導員を行いながら2009年、広葉樹の無垢材を使ったオーダー家具、小物の製作を行うsatokonakazawa設立。
現在は、CORNEL FURNITUREとして2人で活動。


http://cornel-furniture.com/

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デザイナー・オープリソースプロジェクトは、浜松に関わりのあるデザイナーに焦点をあて、その持てる力を引き出すためのプロジェクトです。

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