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Designer Interview 大澤朗  OSAWA Akira 

リスクではなく、チャレンジという考え方

浜松駅からほど近い、伝馬町の交差点に面した趣ある古いビル。その一角にあるカジュアルバー&イベントスペース「BASE」は、地元の方をはじめ、感度の高い大人が集う場所になっている。こちらのお店を立ち上げた大澤さんに話を伺った。

地元の人やクリエイターと呼ばれる人たちとのつながりを期待して、交流できる場をつくりました。自分が理想とする浜松って、昔のようなにぎやかな雰囲気を取り戻したいってのがあるけど、実際はかなり厳しい。まるたま市みたいに街中に集まれる定期的なイベントもいいと思うし、古いビルを活かしていくことも同じくらい大事なんじゃないかと。ここの2階と3階に店を構えたのも、このカメヤビルが浜松で一番古いビルのひとつだったから。町を守る防火耐ビルだったというエピソードも面白い。そんな場所をがらんどうにしているのはもったいないし、ビジネスの思考でなく、クリエイティブの発想で再生させたいと思ったんです。浜松に戻ってきたとき、街が面白くないって言っている人ばかりだった。同時に気付いたのが、言ってるだけ。誰かやればいいじゃんて。飲食をやるっていうのはリスクだと思う人も少なくないけど、都市圏で生活していた時間が長かった分、リスクではなく、チャレンジなんだと思えました。それをすることで何かが生まれ、付随するものがある。そんなシンプルな考え方です。補助金を利用しようかなと思った時期もあったけど、申請とかいろいろ大変だし、個人で動く方が自由がきく。だったらしちゃえと。補助金は頼りすぎてもだめで、自分のしていることをサポートしてくれるという本来のあり方を忘れずにいたいですね。補助金がもらえないと止めてしまう、持続できないというのはおかしいと思う。実際、難しい話ですけど。うちは補助金なしでやっている、できているというのを見せたいんです。

点と点をつなぎ、面にしていく仕事

実家が祭り用品店をされている方がスタッフということもあり、伝馬町や肴町、鍛治町といった地元の方も利用するという。BASEが考える「クリエイティブの力」とは何か尋ねてみた。

カギヤビルや鴨江アートセンターができたり、まるたま市が行われたり、街の雰囲気も変わってきたと思う。カギヤビルはおしゃれだから、土臭いことはこっちがやります(笑)。それぞれの役割、バランスというものは意識してます。すぐ近くに鴨江観音があるんですけど、僕が小さかった頃、正月やお彼岸は、西部百貨店(現ザザシティ浜松)から鴨江観音まで屋台がわーっと並んでたんです。あの祭りの感じっていいなと。地域に根付いたカルチャーとリンクしながら、アーティストもそれをふまえクリエイトしていく。鴨江アートセンターとBASE、カギヤビルの動線が整理されると昼間に散歩する人も増えるし、新しい空気感が生まれると思う。点と点をつなぐ場所が大事。クリエイティブって特別なことではなくて、結局はみんな日常的にクリエイトしている。鴨江アートセンターができたとき、危険だなとも思ったんです。そのコミューンに入っていないと自分が認められないと思っちゃうのが怖い。特定の場所と接触しなくても面白い人はいっぱいいるし、クリエイトしている人は多い。コミュニケーションがとれることがベストだけど、苦手な人もいる。それでも作品をつくってるという人も多い。友だち2〜3人でもOKな場所、おっちゃんがいるBASEにおいでよと(笑)。アーティストに限らず、人と人とをつなげたいという想いがあります。街の中で重鎮と言われる地主さんとか、祭りを仕切っている方とか、僕らのことをよく見ていますよ。いきなりお店をはじめるとか、突然すぎると拒否されるけど、礼を尽くして、丁寧に説明すればここでこんなことをしていても応援してくれるし、周りが変わっていっても受け入れてもらえる。地元の方を巻き込むことでロングスパンで話もできますし。そのためには、いかに継続していくかが大事。どんな表現者もお金ないところからはじめてるから、お金がなくても継続はできるはず。とは言っても、銀行にクリエイターへの融資枠があると嬉しいな。4月の年度初めだけではなくて、いつで借りられるように。画材とか高いし、嫁と子どもがいて養育費を考えるとシビアになるもん、やっぱり(笑)。

浜松という風土を活かし、実践し続ける

ビルをリノベーションして日常使いできる場所をつくった。また、障害者支援施設で指導教員もしている大澤さん。BASEが目指すビジョンに話が弾んでいく。

ここでは施設の子たちがつくったコースターを5枚ひと組1000円で販売しています。売上げの半分は支援施設に戻します。素材は天竜杉の間伐材やヒノキ。地元のものを使い支援や活動をしていくことで、地域のブランディングにつながっていけばいいなと思っています。コースターを置いているのも、施設の子に自分がつくったものが商品化され、並んでいるという最終形を見せてあげるのが大事だと思ったから。何をつくっているのか分からずに作業している子も多い。こうなるんだよと見せてあげることでモチベーションも上がる。誰でもできるけど、できてない。でも、見せる/見せないの差は大きい。誰が買ってくれて、使ってくれるか。買い手が見える、お礼を聞ける、がすごい大事。それはクリエイターも同じで、仕事の枠に収まらず、さまざまな人とつながっていることを忘れずにいて欲しい。クリエイターのネットワークができれば、ものごとが具体化するし、そこをサポートしていきたい。リノベーションしたのも、お店にして運営するという事例をつくりたかったから。階段といった共有スペースも全部ひっくるめてすることに意味がある。今の浜松には古いものを活かすというのが重要。新しいものをつくるのは誰でもできるけど、既存のものをリノベするのは今後避けられない課題になる。予算的にも壊してつくるはもうできない。都市再生として重要でしょうね。企業や行政がばらばらでするのではなく、クリエイターがするってのが大事。実際にやってみたときに初めて分かる何かがある。その後のことはインスピレーション、自然に成立していくのかなと。BASEは住んでいる人の生活の延長上にある最初の入口になってくれればいいし、ここから他に広がってくれればいいと考えています。テスト、実験できる基地としてBASEを使って、どう飛び出していってくれるか。育てるといいうと大げさだけど、そんなことをいつも意識しています。

Profile

大澤朗OSAWA Akira

1974年、浜松市生まれ。ライブペイント、絵画制作を中心に活躍するペインター。大阪芸術大学卒業後、舞台書き割りの仕事などを行い、1997年よりニューヨークに拠点を移す。ブルックリンアートヒストリカルセンターでのアート活動、大学講師など、国内外問わずアート活動と絵画制作を続けている。富士山を描いた作品は、高校生の教科書の表紙に採用。2013年浜松に戻り、BASEを立ち上げる。国際美術連盟 日本美術家連盟 正会員。


http://akiraosawa.com/

ABOUT US

デザイナー・オープリソースプロジェクトは、浜松に関わりのあるデザイナーに焦点をあて、その持てる力を引き出すためのプロジェクトです。

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Siphon Graphica 宮下ヨシヲ
写真と、企み 大杉晃弘
E-mail.
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