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Designer Interview 株式会社55634代表 外山佳邦  TOYAMA Yoshikuni 

「人を惹きつける」仕事をしたい

浜松市・未来デザイン策定会議 市民委員、グッドデザイン静岡 審査員などを勤める外山さん。若くして各方面から彼のアイデアを求める声がやまない。

もともとは車の営業を2年半ほどしていました。車の販売をするにあたりPOPやデザインの勉強しているうちに、コピーライターという職業があると知りました。そう言えば入社したとき人事の方に、勝手に宣伝パンフのプレゼンをしたのを思い出して、どうやら自分は宣伝をしたかったと気づいて、キャッチひとつで人の心を引きつけられるコピーライターになりたいと退職を決めました。その後、週末は大阪のコピーライター養成講座に通うかたわら、平日は職業訓練校でグラフィックデザインの勉強を半年間しました。その学校の先生から、浜松でコピーライターの求人があるから受けてみないかと勧められたんです。卒業後は東京で働く気満々だったんですが、話を聞いてみると好条件で(笑)、そこのデザイン事務所にお世話になることになります。

仕事は、百貨店。入社したらすぐにポスター、ちらし、フェアのタイトルなど、あらゆる仕事に携わりました。ここでは7年仕事をしたんですが、キャッチコピーは1000本、商品コピーは3000本ほど書いたんじゃないでしょうか。ジャンルも食料品にファッション、ジュエリー、下着、バーゲンなど、百貨店のお仕事なのでオールジャンル。特にファッションでは、大きな影響をもつ規模の仕事もさせてもらい、高いクオリティを求められる中でプレッシャーを感じながら仕事をさせてもらった経験はとても大きいですね。仕事柄、百貨店のバイヤーさんを通じて、浜松の若手経営者などと知り合う機会も増えていきました。みなさん熱い思いをもっているのですが、どう表現したらいいか分からない…。その頃から、自分のしたいことがコピーライターだけから変わってきました。職業訓練校でデザインの勉強もしていたし、社内のデザイナーにも教えてもらったりして、独立する頃にはある程度のデザインスキルも身についていました。なにより、地元の若手経営者の思いに応えたい。自分がブランディングを手伝い、デザインだけでなく経営相談もできて、彼らが世に出るとき、そのよりどころになるポジションにいたいと思い独立を決めました。

「デザインの説明責任」を果たしたい

営業の経験、コピーライターとして商品の魅力だけでなく、企業の価値を伝えてきた経験は、外山さんが手がけるデザインやブランディングの考え方に通底している。

コピーライターやブランドディレクターと名のってますが、肩書きに興味はないです。僕がしたいのは、クライアントが何を解決したいのかを手伝いたいだけ。それができるのであれば、商談もご一緒しますし、ディスプレイも考えるし、企業戦略も考えます。僕ではできない建築系のことなどはアウトソーシングしています。デザインありきではなく、企業の課題を解決することが仕事だと考えています。ですので、ちらしをつくること、パンフレットをつくることがメインではない。それって、デザイン的な解決方法、PR的な解決方法という手段に過ぎない訳ですから。ウェブをつくることで集客でき、クライアントの課題が解決できるのであれば、デザインがメインにくる場合もあります。そういうスタンスで仕事をしています。よき相談役である分、ただで仕事を頼まれがちになる(苦笑)。

そこで強く言いたいのが、アイデアやデザインの説明責任を果たすこと。「アイデア」という形にならないものを表現するわけだから、どうしてそれがいくらかかるのか、きちん説明するようにしています。お話しすれば、みなさん基本的にはわかってくれます。今のデザイナーは、装飾することが大半の仕事になってしまっていると思います。説明をするのは営業の方で、デザインの説明や商談が不得手な人が多い。また「装飾的なデザイン」自体が好きなデザイナーの方が多いですよね。もちろん、紙質や加工、細部にまでこだわることは職人的で素晴らしいと思う。一方、ビジネス(問題解決)の視点に立つと、経営戦略を踏まえたデザインとしての整理や判断が必要になる。たとえば、箔押しにエンボス加工などの装飾を施すときに、オーバースペックなデザインになっていないか。クライアントの予算を踏まえ、課題を解決することを表現しているのか、本当にそのスペックは必要なのか、そこはちゃんと考え説明できることが必要だと思います。

「視点を変える」と価値が見えてくる

浜松で働いて約8年。デザインやブランディングという視点で浜松を見たとき、外山さんの目にはどのように映るのか尋ねてみた。

ブランディングの観点で見ると、今はちょうど転換期。松菱が倒産して以来、浜松の特に街中は右肩下がりと言われ続けているけれど、今、感覚的には横ばい。ここからどう変革するのか、別の方向に行くのか、その転換期にあると思います。もともと工業都市、製造業の街だった浜松。かつては街中で買い回りしたけど、それとは違う街の使い方を考えないといけないと思う。個人的には、浜松に起業家を誘致したいと思っています。IT系なら、田舎に移住する会社もあるくらいですし。そこまで極端でなくて、浜松どうですかというご提案。浜松を紹介するとき、頭に「田舎だけど」って言葉をつけると視点が広がります。田舎だけど百貨店がある。田舎だけと東京まで1時間ちょっとで行ける。「田舎だけど」を有効活用していくキーワードにしたらいいんじゃなのでしょうか。起業家を入れて、新しい会社を入れれば、地元の人にも刺激になるし。

東京から仕事の問い合わせもあります。これまでの時代は、東京に支店をつくり、そこで仕事を受けて浜松で制作する。これからは、場所に関係なく需要があれば問い合わせが来て、打ち合わせに行くというスタイルは、成立するんじゃないでしょうか。東京にいるからクオリティの保障がある訳でもないし、浜松の事務所賃料を考えれば、交通費を計上しても価格をおさえることができます。純粋に「アイデアの質」を見てもらえる。それと今、「地域のブランディング」に取り組もうとしています。たとえば浜松では、土産物や観光にまつわるもので、うなぎ、竜ヶ岩洞など、来訪者に対してオススメするポイントが昔から更新されていない。地元の人は知ってるけど、本には載っていない美味しいお店、面白いことをしている若手経営者などを紹介するサイトです。浜松を含む遠州地域は、面白いものは点在しているけど、土地も広大だし外から見て分かりにくくなってしまっている。そんな情報を再編集したサイトをつくることで、浜松の魅力を伝えていきたいですね。

Profile

外山佳邦TOYAMA Yoshikuni

株式会社55634代表。同志社大学卒業後、自動車メーカーの営業に就職。その後、宣伝会議コピーライター養成講座、職業訓練校を経て、浜松のデザイン事務所に転職。コピーライターとして百貨店の広告制作に携わる。中小企業、若手経営者の志をサポートをしたいと、2012年9月独立。浜松市・未来デザイン策定会議 市民委員、静岡県・地域づくりアドバイザーとしても活躍。


http://www.55634t.com

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デザイナー・オープリソースプロジェクトは、浜松に関わりのあるデザイナーに焦点をあて、その持てる力を引き出すためのプロジェクトです。

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