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Designer Interview 株式会社マツヤマ・デザイン代表取締役 松山拓也  MATSUYAMA Takuya 

2007年に設立した「マツヤマデザイン」は、ウェブをメインに仕事をされているデザイン事務所。自社サイトをはじめ、こちらが手がけるサイトは、写真が効果的に使われ心地よい読後感が残る。その丁寧な仕事と代表の松山さんの人柄が評判を呼んでいる。その理由に迫った。

好きな働き方を求めたら、このスタイルになった

2007年に設立した「マツヤマデザイン」は、ウェブをメインに仕事をされているデザイン事務所。自社サイトをはじめ、こちらが手がけるサイトは、写真が効果的に使われ心地よい読後感が残る。その丁寧な仕事と代表の松山さんの人柄が評判を呼んでいる。

会社は7年目ですが、僕自身デザインの仕事をはじめて18年が経ちました。おかげさまでたくさんのお客さまに恵まれ、お仕事をいただいています。仕事は短くても3ヶ月ほどかけています。といっても3ヶ月でできたためしはないんですけど(笑)その間は、お客さまからお話を聞いたり、どういう風につくればメッセージが効果的に伝わるかビジュアルをイメージしたり、事例を探したり。ストーリーやテーマ、雰囲気みたいなものを浮かべ形にしていく時間。あと、山に行ったり、釣りに行ったりする時間(笑)お客さまの深い部分まで知りたいし、話したいから、どうしても必要な時間なんです。お客さまのことを深く理解することで、ウェブだけでなく、印刷物や販促物などもお願いされることも少なくないです。僕は22才でデザイン業をはじめて、24才で独立。28の時、縁あってマーケティング事業部の立ち上げを手伝うことになり、看板やバスのラッピング、新規店舗の立ち上げなど、いろんなことを経験させてもらいました。立ち上げ時は僕1人だったのが、最終的には10人ぐらいなるまで大きくなりました。このときから自分でデザインすることを止め、ディレクションに徹することにしました。あと、写真を撮りはじめたのもこの頃からですね。結果的に6年ほど在籍したんですが、本当に忙しくて、つくる以外のことに時間を取られることがどんどん多くなって違和感を感じはじめました。それで自分の好きなウェブとデザイン、撮影をする会社を立ち上げ、今に至っています。

時間をかけて制作している話ですが、法多山のウェブを例にあげますね。こちらのサイトは1年半ぐらいかかってます。人はなんで法多山に行くのか、団子を食べるのはなぜか、そもそも仏教って何? などいろいろと調べます。理由は法多山のことを全部を知りたいから。たくさん調べ考えて、「想いと祈り」というコンセプトが生まれました。さらにそれを伝える21のストーリーを考え、四季や行事などの写真で表現しました。気になることがあったら話を聞きに行くこともあります。1回2回の取材では伝わらない空気感みたいなものもちゃんと感じたい。そんなことをしているから時間がかかるんでしょうけど、わざわざ僕に仕事を頼んでくれる訳ですし、満足いくものをつくりたいですから。

デザインという職能の生かし方

じっくりと時間をかけ、納得いくものをつくる松山さんのスタイルは、制作の仕事をするものなら誰もが憧れるはず。一方で、登山やフライフィッシングのほか、仲間と一緒に「アウトドアのがっこう」をはじめたり、プライベートもしっかり楽しまれている。話はデザインという技能を生かして働くということに移っていく。

僕の働き方を憧れるという人は多いけれど、それは「分け目」とか「区切り」の問題なんだと思う。僕は生活と人生の全部をデザインにささげてます。18時になったらタイムカードを切ってデザイナーから個人に戻るんじゃなくて、お酒を呑みにいっても、旅行に行っても、デザイン事務所で働いている松山であることには変わらない。たとえこっちはオフだとしても、相手はデザイナーの松山さんというスタンスで接してくる。例えるなら、24時間365日、デザインというプールに肩まで浸かってるようなもの。土日はオフの人と、四六時中仕事のことを考えている人とでは、差が出るのは当然。憧れるという人は、ざぶんとプールに入ってくればいいと思いますよ。

18時までの時間内で仕事をしようとか、デザイナーであろうとするのは、ちょっと甘いと思う。なにも深夜まで仕事をしようって話ではなくて、呑みにいってデザインの話をしたり、法多山を制作中なら仏教の話になったり、休日も取材をかねて瀬戸内海まで出かけてみたり、そういう行動ができるか、そんな意識を持てるかということが大事なんだと思う。僕も純粋な仕事だけなら8時間ほどだけど、釣りに行ったり、ボランティアしたり、呑みにいったり。それらをあわせると24時間になる。そこには人との出会いがあり、そこでの会話や受ける刺激が仕事に還元されてる。イチローだって、バッターボックスに立った時だけがイチローではなく、球場の外にいる時も含め、24時間イチローであるために努力をしていると思うんです。どこまでが仕事? ではなくて、やっぱり全部が仕事につながっていると思う。

東京という場所、浜松という場所

最後に浜松で仕事をすることについて質問をしてみた。

ネットの仕事をしているというのもあるけど、東京へ拠点を移すってことは考えてないです。もちろん東京や大阪などへはよく行くけれど、あくまでも刺激を受ける場所。若い人やクオリティを発信したい人には都会はいい場所だと思う。浜松は山や河など、自然がすぐ近くにあって好きなアウトドアを楽しめるし、なにより18年間この仕事を続けてきて、よくしてくれるお客さまが多くいらっしゃる。僕にとってのhomeはやっぱり浜松なんです。

Profile

松山拓也MATSUYAMA Takuya

1973年袋井市生まれ。株式会社マツヤマ・デザイン代表取締役。同社ディレクターとして、コンセプトメイキングから写真撮影まで幅広く手がける。法多山の朝の境内で行う自分磨き「寺スタ」ではスマホ撮影術の講師を担当。また、仲間と一緒に掛川市さくら咲く学校を舞台にしたアウトドアスクール「アウトドアのがっこう」を主宰するなど、活動のフィールドは多岐にわたる。


http://www.md-f.jp/

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デザイナー・オープリソースプロジェクトは、浜松に関わりのあるデザイナーに焦点をあて、その持てる力を引き出すためのプロジェクトです。

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Siphon Graphica 宮下ヨシヲ
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