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Designer Interview 桑田亜由子  KUWATA Ayuko 

可能性に満ちた10代、人との縁を繋ぐ20代

フライヤーにフリーペーパーのデザイン、イラストやイベントスタッフなど、「浜松の面白い」にはいつも“クワタアユコ”の名前がある。独特な空気感に包まれた彼女のルーツを探る。

福井県の田舎に生まれ高校まで地元で過ごし、大学進学のため浜松にやって来ました。小さいころの私は絵を描くのが好きで、テレビが大好きな子どもでした。その中でもミュージックビデオがすごく好きで、こういう映像をつくりたいと思い大学を探しました。地元は関西寄りだったので大概京都や大阪に進学なのですが、田舎者だった私は「東京」に憧れがあったのでとにかく東京に進学を考えていました。でも、親に東京は危ない街だからダメだと反対されて。それでも少しでも東京の近くに行きたいと思い、愛知や静岡の大学を受験しました(当時の私は東京に近いと思ってた)。結果、父親の勧めもあり、映像が学べる静岡文化芸術大学(文芸大)の技術造形学科(現メディア造形学科)に入学しました。

大学時代の講義のことは残念なくらいほとんど覚えていません。課題もそこそこ、提出できればいいや程度。映像の授業にも難しくてついていけず挫折し、サークル三昧の日々でした。でも3年生になってこのままではマズいなと思い、クラスの子が入っていた、「ビジュアルデザインチーム 獣道」というサークルに焦って入りました。そこでサークルにきた依頼や学外のコンペに応募するためにいろんなものをつくるうちに、今更ながらデザインって楽しいなと思い始めて、就職活動は早々に切り上げ、大学院に進むことにしました。

大学院でも相変わらず講義の内容は覚えておらず、同級生の主婦の方から依頼された仕事をしていました。その方は子育ての視点で街づくりを考えるのがテーマで。最初は飛び出しくんをつくって欲しいと依頼され、自分で板を買ってきて制作しました。そこから、パンフレットや紙ものなどの依頼もきて。その主婦の方の紹介で他の場所からチラシの依頼がくるようになったり。その頃から人の紹介で少しづつ仕事が繋がっていくように感じました。そしてまた就職について考えなければならない時期になりましたが、とりあえずひとりで行けることまでやってみようと、就職しないまま卒業しました。

大学院修了後は、在学中と同じように紹介していただいた仕事をしつつアルバイトも同時にやっていました。でも、ある時パンフやちらしなどがセットになった大きな案件頂いたのですが、それが全然うまくできなくて、相手にも迷惑をかけてしまいました。その頃アルバイト先にも大分無理を言ってシフトを調整してもらい迷惑をかけていたので、デザイン一本で行こうとアルバイトを辞めました。

場所にとらわれず、軽やかに引きこもる

卒業して3年。関東にも拠点を持ち東京の仕事をしている桑田さん。移動するのが好きという彼女に、浜松に残っている理由を尋ねてみた。

東京に行かなかった理由よりも、行く理由がなかったから。だからといって浜松を拠点にするというのにも違和感がありますね。地元って訳ではないですし。グラフィックデザインの仕事は、打ち合わせさえできれば体がずっとそこに居なくてもいのも理由かもしれません。実際、定期的にくる仕事は、メールのやりとりだけで完了することもあります。

大学院のときは、研究室に机やパソコン、プリンターなどを持ち込んで作業していました。今も移動の電車の中などで作業してます。オープンな場所にいますが、基本引きこもり。周りに人がいることが作業の妨げにはならず、むしろ心地よいですね。ひとりの部屋で作業していると詰まってしまうので誰か人がいる空間の方がいいのかもしれません。イスさえあればMacを膝にのせればいいから机もいらない。

旅行はあまり好きではないのですが、移動している時間は好きです。なので、どこかに腰を据えて仕事するよりも体ぐらい移動していたいなと思います。といってもほとんどパソコンの作業なのでじっとしているんですけど…。

たくましく、したたかに、ずうずうしく

何度も引っ越しを繰り返す中で見つけた自分のデザインの原点。これからの働き方など、話はさらに広がっていく。

仕事の営業についてどうしているのかよく聞かれるのですが、学生時代と変わらず人からの紹介がほとんどです。
浜松は個人規模でイベントや活動をしている方が多いような気がします。その個人から依頼を受けると、その周辺から次の仕事をいただき、またその周辺から…と、どんどん拡がっていくパターンが多いです。その延長線上で東京の仕事に繋がったり、企業に繋がったりして、仕事だけ見ていると突拍子もなくバラバラに見えますが、私の中ではちゃんと繋がっているんです。就職せずにこんな風に仕事が出来るのは浜松だったからだと思います。

浜松に住んで9年目ですが、なんだかんだ今の家は5カ所目。そうなると引っ越しがどんどん楽しくなってきて。今ある荷物を捨てずにいかに持って行くか、断捨離しない引っ越し。引っ越しするたびに間取りが変わるんですけど、新しい間取りに今までの荷物をレイアウトして使い心地を再現するのがとても楽しいです。最近では身体感覚で、この家具がここに入る、入らないが分かる時もあります。限られたスペースに物を収めるだけでなく、用途や使用頻度に合わせてピシっと入った時は気持ちいいですね。この感覚はデザインにつながってるなと思います。

今はいろいろチャレンジできるのが楽しい時期。最近ではグラフィックデザイン以外に、イラストや映像の仕事もしています。全く違う別の仕事と考えるのではなく、全てデザインに繋がっていると考えているので、今後新しい発見や考え方などが見つかるのではないかとワクワクしています。

Profile

桑田亜由子KUWATA Ayuko

1986年福井県生まれ。静岡文化芸術大学 技術造形科卒業後、同大学院卒業。学生時代はデザインサークルに所属し、浜名湖競艇やオレンジリボンポスターコンペなどで入賞。浜松市政100周年記念として行われた、アーティスト・鈴木康広さんの「ファスナーの船」運行チラシを作成。今、浜松でもっとも期待される若手デザイナーのひとり。


http://auco-kuwata.tumblr.com/

ABOUT US

デザイナー・オープリソースプロジェクトは、浜松に関わりのあるデザイナーに焦点をあて、その持てる力を引き出すためのプロジェクトです。

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